幼なじみに恋してでも結局今の関係が崩れるのが嫌で何も言えなかった。
いつもそうだ。恋をしたって結局は怖くなる・・・。今の関係が崩れるのが嫌、私が告白したって付き合ってくれる訳がない。思えば思うほど、考えれば考えるほど、私は逃げ出した。安全な道を選ぶ事で自分の恋心から逃げ出したのだ。







「・・・・いっ!!おいっ!!!聞いてんのかよ」
新の怒鳴り声で現実に引き戻された。

「あぁ・・・。ごめん考え事してた。で、何よ?!」
カチャリとコーヒーカップを置かれるとコーヒーの良い香りが漂ってきた。

「・・はぁ、もういい。とっとと飲め」

「お客に対してその態度どうかと思いますけど・・・」

私の軽い嫌みに対して鮮やかに微笑むと「それは失礼。お客様だとは思いませんでした」とさらに嫌みを言ってきた。

新は喋りさえしなければ十分に美形の部類に入る男だと思う。
黒い髪なんかサラッとしてるし、肌もキレイで体もがっちりしてる。そのせいか昔からモテていたのは確かだ。何度も言うけど喋らなければね‥。あの通り口を開けば毒ばかり、それでも一部の女子はその冷たさがいいとか言ってる子もいたけど新本人は女子には感心がなかった。だから幼なじみという特権を持っている私だけがある意味新の一番近くにいた女子なのかも知れない。

だからこそ私は自分が新の一番なのだと思っていた。


そうあの日までは・・・・・。