「そんなに嫌なんですか??先生ならイイ話書くと思うんだけどなぁ」
呆然したと思いきや、ため息をつきながら至極残念そうに言った。
「嫌って言うより書いた事ないし・・・。」

「大丈夫ですよ!!!だって先生今まで妄想で話書いてじゃないですか!!新人賞の話だって幼なじみとの初恋話で私すっごい感動したんですから!!」

「はぁ〜。それはありがと」

新人賞を取ってしまった話は幼なじみに恋をした少女の初恋話で、もちろんモデルはいる・・・・実はこの話のモデルは私自身なのです。当時の私は幼なじみに恋をしていて、でも実際はただの友達っていう感じでしかないというのはわかっていたから、私は小説でまぁ自分がしてみたかった告白方法やら、どう恋心を伝えればいいのか悩みもがくさまを綴ったまさに妄想小説だった訳です。

「結構売れるんですよ。男の子同士の話って。」
「へぇ。そうなんだ。そういえばモデルって・・・??」

「ついにやる気になってくれたんですね!!!先生ならきっとやってくれると思っていました!!」

「いや・・・まだやるとは・・・・・」

「モデルはヤクザです!!」
「・・・・・・・・・・・はいぃっ?!!」

今さらりと言ったけどヤクザって・・・ヤクザって言いましたかぁ!!!!

「じゃあ来週までに大体でいいので話の流れ考えて置いて下さいね。これから忙しくなりますよ〜。」

無理でしょ〜!!どう探せと言うんだよ〜

「それじゃ、また来週来ますのでよろしくお願いしますね。いや〜よかったよかった。やる気出してくれて・・・」



気がつけばさらりと爆弾を落としていった編集者は帰っていてただ、今言われた言葉を未だに受け止められずにいる私だけがいた。