「姫? どうした?」

俺は姫のところまで戻った。

姫は、ただ黙って首を横に振って、俺の隣に来たけど、なぜか下を向いて顔を上げようとしない。

「姫?」

「なんでもありません。
それより課長、はよ買い物して帰りましょ。」

姫がそう言うから、俺はなんだか釈然としなかったけれど、スーパーに向かった。


「課長、調味料はありますか?」

「んー、よく分かんないけど、結が料理してた
から、あるんじゃないかな。」

「結さんて、お出汁、自分で取ってました?
顆粒だし使ってました?」

「え? それは分からないなぁ。」

「じゃあ、一応、買ってきましょ。」

姫はそう言って、カートにいろんな物をいれていく。

大根、豆腐、わかめ、油揚げ。

塩鯖が安くなってたので、魚は家で焼く事にした。

副菜にごぼうのきんぴらとかぼちゃの煮物を買った。