「落ちたよ。」





私は一瞬ビクッとした。




だってさっき一面見渡した時には誰もいなかったから…




振り返った私の目の前には、優しそうに微笑む男の子。




多分…同い年か1つ下くらい。




「あ、ありがとう。」




どうやら財布を落としていたらしい。




危ない、危ない。




危うく何も買えないどころか、お金を無くすところだった。




男の子から財布を受け取った時、手に冷たいものが降ってきた。




「雪だ…え…?」





顔をあげると、そこにはもう男の子はいなかった。




あれ…?




さっきまでいたのに…




辺り一面を見渡しても見当たらない。




「幽霊…?」




…なわけないか。