ありがとうと嬉しそうに受け取り、町を巡回してくるというタイラックさんと別れて町の子供達にお菓子を配る。

嬉しそうにはしゃぐ子供達の声が、心を擽る。

途中で会った町のおばさん達にランタンと、魔除けのお守りのネックレスを渡され有難く受け取った。

お屋敷に行ったからって帰って来れないわけじゃないから大丈夫なんだけど。

町の入口の小さな囲いを越えて、遂に町の外へと足を踏み入れる。

町はすぐ後ろにあると言うのに、どこか遠くにある感覚がした。

振り返ったら戻れなくなりそうなそんな感じがして、ぎゅっと胸元を掴んだ。


「お菓子渡したらすぐ戻ってこよう……」


そう呟いて早足で前へと進む。

どことなく霧が出てきたと思えば、いつの間にか鬱蒼とした森の中へと入っていた。

それだというのにお屋敷までの一本道は、レンガで敷き詰められた立派な道だった。

ジャック・オ・ランタン達が、怪しく笑っては、道を照らす。