「アイツに見せてないよな?」



壁に両手をつき、あたしが逃げれないようにする暁。



「……アイツ?」


「先輩」



先輩とは音哉のこと。
暁と音哉は大学の先輩後輩だ。



「あー、一緒にビール飲んだだけだよ?」


「どこで」


「音哉の部屋。台風でお店が全部……んっ」



〝しまってて〟その言葉は暁の唇によって、遮られた。



「ちょ、暁……」


「アイツの部屋行ったとか、なに。聞いてねーんだけど。ホテルの部屋で2人とか想像しただけでムカつく」



相当あたまにきているのだろう。
超絶不機嫌な顔になっている暁。



「だから最後まで聞いてって!音哉の部屋には望々ちゃんもいたから!ふたりじゃないから」


「は?」



あたしの言葉にハッとした顔になる。



「ほんと、早とちりしすぎ」


「悪い。アイツと2人だったのかも思ったら余裕なくなって。マジかっこわりーな」


「本当に」



でも、そんな暁があたし好きなのだ。