彼女は複数の男と関係を持っていた。

離婚しようかとも思った。

だけど、嘉人を手放す気にはなれない。

俺が黙っていれば、それでいい。

俺は、そのままの関係を続ける道を選んだ。

だけど、その日、別の男と寝たかもしれない彼女を抱く事は出来なかった。

それ以来、俺は彼女に指一本触れなくなった。


嘉人が保育園の年長の時、児童相談所の職員がやってきた。

嘉人が虐待されてる疑いがあると言う。

俺はもちろん、嘉人に手をあげた事はないし、彼女も泣きながら、そんな事はしていないと言う。

嘉人は、かなり落ち着きのない子供だったし、常に走り回っていたので、転んだりぶつけたりしたんだろうという結論に至った。

その頃になると、俺がやりたかった改革も軌道に乗り、仕事も落ち着いてきた。

仕事の合間、移動中などに、嘉人の保育園が配信している教室の動画を見ていると、嘉人だけ他の子と違う事に気付いた。