父の息子である事を明かされ、秘書としてあらゆる所に同行させられた。

そうして、28歳の時、専務に抜擢され、30歳で社長になった。

父は会長になり、経営の一切を俺に委譲した。

本社勤務なってから、仕事は多忙を極め、子育てのほとんどを彼女に任せきりにした。

それがいけなかったんだと思う。

いつの頃からか、彼女は男遊びを始めた。

気づいたのは、些細な偶然だった。

敵情視察に訪れたホテルのレストランから帰ろうとした時、男と腕を組んでエレベーターに乗り込む彼女を見てしまった。

初めは信じられなかった俺だが、家の中をよく見ると、買ってやった覚えのないブランド物の服やバッグがそこかしこに転がっている。

渡している生活費では、そんなに買えないはずだ。

これも男か?

疑いを持った俺は、興信所に依頼した。

依頼する時、興信所の担当者は、証拠が掴めるまで、1ヶ月かかる事もあると言っていたが、わずか1週間で結果は出た。