そのまま抱きしめられ、瀬崎さんの手が私の体を撫で始める。

「ん、瀬崎さん! 今日は、もうダメです。」

私は瀬崎さんの手を押さえるけれど、

「夕凪、今、瀬崎さんって言ったから、
違うって、体に教えてあげる。」

と耳元で囁いて、そのまま耳たぶを甘噛みされた。

一瞬で力が抜け、崩れ落ちそうになる私を瀬崎さんが支えてくれる。

だけど、これ幸いとばかりに、瀬崎さんの手は不穏な動きを増していく。

「瀬崎さん!」

いくら呼んでも、止まらない。

そうか!!

「ゆっくん。」

そう呼ぶと、一瞬、止まった。

だけど、また、動き始める。

「ゆっくん、お願い。
嘉人くんが帰ってきたら、困るでしょ?」

そう言うと、

「じゃあ、今週から、夕凪が泊まりに来れば
いい。」

と瀬崎さんは顔を上げた。

だけど、それは…

「私の車が一晩中止まってたら、御岳さんが
何かするかもしれないでしょ?
まだ結婚してないんだし、ダメだよ。」