ドキドキしながらも、私は髪を乾かす。

私の髪がほぼ乾いた頃、瀬崎さんは戻ってきた。

「あ、どうぞ。」

私はドライヤーを渡す。

くすっ

瀬崎さんが笑った気がした。

やっぱり緊張してるのが分かるのかな。

瀬崎さんが髪を乾かしている間中、私の心臓は早鐘を打つように鳴りっぱなしだ。

髪が湿って、無造作に掻き上げた瀬崎さんは、いつにも増して色っぽくて、どこを見ればいいのかも分からない。

私が落ち着かないでそわそわしていると、ドライヤーの電源を切った瀬崎さんが立ち上がった。

「夕凪、上に行こうか。」

私は、頷くのが精一杯だった。

階段を上りながら、私はふと思い出した。

「あ、クリスマス!!」

「ん? 何?」

私は振り返って言う。

「瀬崎さん、酔った私を2階まで運んで
くれたよね?」

「ん? ああ!
そんな事もあったな。」