ああ…
そういう手があるんだ。

「俺が気づいてなかっただけで、尾行したり、
うちのゴミを漁ったり、いろいろしてた
らしい。」

「そうなの?」

「うん。
ひどいのは、嘉人を手なずけようとしてた事。
平日は大抵、実家に行ってるから、接触
できなかったみたいだけど、それでも、何かを
取りに帰宅したりすると、お菓子を持って
お裾分けのような顔をして嘉人に
取り入ってた。
母も一緒だったけど、親切なご近所さんだと
思ってたから、あえて何も言わず、その場で
お返しになるものをお裾分けして返してた
らしい。」

「そんな… 」

「毎回、娘を連れてきて、一緒に遊ばせようと
したみたいだけど、嘉人は忘れ物を取りに
来ただけで、すぐに実家に帰るから、
遊べなかったらしい。」

そんなの、真奈ちゃんをぬか喜びさせたじゃない。

お母さんが誘ってくれるなんて、真奈ちゃんにとっては、たまにしかない嬉しい出来事なのに。