学級委員さん達は、議事録のファイルを手にして、立ち上がると、
「ありがとうございました。」
と教室を出て行った。

もう誰もいないから、教室でもいいかなと少し思ったけど、隣の2組さんは懇談中だから、いつ1組の前を人が通るか分からないので、やっぱり相談室に行く事にした。

相談室の引き戸を開け、
「どうぞ。」
と瀬崎さんを中に促すと、私は入り口に掛けられたプレートを使用中に変えて、中に入った。

4人掛けの丸テーブルに瀬崎さんに座っていただき、私もその90度隣に腰を下ろした。

「嘉人くんの通級の事で、何かありましたか?」

私から切り出した。

「ごめん、嘘。」

「えっ?」

「そう言えば、2人で会えると思って。」

瀬崎さんは、テーブルの上に置いた私の手を握った。

私は慌てて手を引くが、しっかりと握られていて、離してはくれない。