*雅side*

廊下ですれ違った男の名は、若王子 廉と言うらしい。

なるほど。
だから、王子と呼ばれていたと。

体育の授業中、2年の教室からの視線をガンガン感じていた。

その中に若王子も居たんだ。


若王子は、ルナを見ていた。
黒髪で、ピアスなんか付けてないし、制服も着崩れしていない。

至って普通。

だけど、二人並んだらきっとお似合いかも……なんて。

バカみたいに嫉妬したり。

「本当、バカみたいだ」


何も悩む必要はない。
ルナは、俺しか目に入らないんだから。
それに2年男子と馴れ合うことはないだろうし。

心配する必要はない。

体育は、終わり着替えに行くルナを待っていた。

昼休みは間近。

廊下には、生徒達で溢れていた。
中には、あいつもいた。


「あ、君。高城くん?だよね」


なんだよ、引き留めるなよ。


「ルナちゃん待ってるの?」

関係ないだろうが。

「そうだけど、名前呼びやめてくんない?」

黙っては居られない。

「ルナって呼んでいいのは、俺だけなんだよ」

ヤキモチ?笑う?
だけど、相手は誰でもないルナのこと。

ルナのことだけは、引けない。