「雅くん……………っ」

「ルナ、俺葵からルナ奪うから覚悟しといて」



なあ、葵。
隠れてる場合じゃねーよ。

俺は葵の背中を…………蹴りあげた。


ドカッ!!



「いてっ、慧。
なんだよ…………わかってるよ‼」

俺は、葵を睨んだ。

なにも始まらない。
これから先、本当に好きなら………謝ることも伝えることも大切なんだよ。

失いたくないならーーー。


「慧っ」


俺は、アミの肩を抱き寄せた。

失いたくない君を、抱き締めた。


「ルナ、昨日はごめん。
だけど俺、ルナを失いたくない。
ルナを誰にも、渡したくない。
ヤキモチ妬いて傷つけて、ごめん。
もう一度、俺にチャンスください」


葵は、深く頭を下げた。


その手を、ルナちゃんが握った。

「もう、怖くしないでね」



そう、ほのかに笑うルナちゃんを葵が優しく抱き締めた。


雅の瞳が悲しく映った。


こんな風に思うのは変かな?

ルナちゃんが雅を好きになればいいのに。

なんて…………。

じゃなきゃ、雅の気持ちはどこに行けばいい?


静かに、屋上を出ていこうとする雅。


「雅、大丈夫か?」



今にも泣き出しそうな瞳。


「大丈夫、大丈夫」

まるで、自分に言い聞かせてるだけの言葉。

雅…………。