「雅………くんっ」 

私の目の前に、雅くんは居た。
その顔は、葵くんを睨み付けていた。


「なにしてんだよ、何泣かせてんだよ!!」

君の怒りは限界を超えていた。

手が震えてる。
葵くんを見たら、頬は赤く少し血が出てる。
だけど、そばに寄るのが怖かった。


先程、乱暴に抱かれそうになったことを考えたら、怖くて下着姿のまま、踞り泣いていた。


ふわり、と大きめの服が私の体を包み込む。

雅くんが着ていた黒の上着。

そしてーーーぎゅっ、と抱き締められた。


雅くんの温もりに、泣きそうになった。

我慢なんか出来ない。
「雅くんっ」


私は、雅くんに抱き付き泣いた。

私の体は震え、そして止まらない涙の、通過点は知らず……溢れては零れる。


「ルナ…………良かった無事で。
マジ、心臓止まるかと………」 


そこまで、心配してくれたの?

私は、雅くんを見つめた。

私…やっぱりーーー雅くんのこと………「なんでだよ、なんでっ、ルナは俺のなのにーーー」 

雅くんの気持ちを、心の中で言う前に君の声が聞こえた。

泣きそうに俯いた弱々しい君。

「葵くん…………」


私が、君の名を呼ぶだけで精一杯。