相当参ってるのか、雅くんのイビキは聞こえてきた。

私達は、そっと部屋を出てリビングにきた。

「ねえ、葵くん。
いいの?雅くんとこのまま、仲悪いままで……」

私は、布団を出しながら葵くんに聞いた。
「……………」


ずっと押し黙ったままの葵くんが、すぐ近くに居たなんて分からずーーー、私は布団を押し入れから引っ張り出していた。


「葵くん……………ンッ」


振り向いた私の目の前に、葵くんは居て驚く間もなくキスされた。


迫る葵くんに、私の体は流れ込むように布団の上に………。


覆い被さる葵くんの瞳はーーー


   "男"だった。


「葵くん………ちょっとっ、待って」


近づく葵くんは、私の両手を掴み布団に押し付けた。

「なあ、ルナ。

ルナの全部、俺のにしていい?」


"ルナの全部、俺のにしていい?"
意味が分からない訳じゃない。

「ダメっ!!」

迷いなく、答えていた。

だって、家の中に雅くんがいるんだもん。
二人っきりじゃない。

「なんでっ、ルナは俺の彼女だろうが!!」

ギリッ、と握る手に痛くて顔を歪めた。


怒鳴る葵くんが、何故だか知らない人の様で涙が込み上げた。


「いやっ………葵くんやめて、怖いよ」

私の声が、君には届いて居ますか?

覆い被さる葵くんに、私は震えた。

抵抗出来ない恐怖。

彼氏なのにーーー。

好きな人なのにーーー。