「まーたそんなもんしてんの?勉強もしなよね」

「まあまあそんな堅いこと言わずにさ、今日は朱里としたいことがあって来たんだよ」

夏休みの宿題を進めていた手を止めるしかない勧誘文句。

萎れたようなスウェットのポケットから出てきた手に握られていたのは

「線香花火…?」

「大正解」

ニヤニヤと笑うその顔は何かを企むような顔で、不覚にも可愛いと思ってしまう。

しかし時計を見るとまだ16時。

花火をするにしては早すぎる時間帯だ。