生温い風が吹く
夏の始め
新たなストーリーが始ろうとしていた―。
「ひゃぁー!!気持ちーっ」
森野 詩織 小学6年生
子供っぽい普通の小学生
今日は学校のプール
暑い中のプールは詩織からしてみたらバカンスみたいなもの
「気持ちよかったぁ」
「えー!?あたしプール嫌い…髪痛むしぃ」
この大人みたいなコメントは詩織と同い年の
橘 由香里
「あー次 算数だぁ…詩織めっちゃ苦手」
「待ってよー!着替えんの早すぎー」
青い空
溢れんばかりの緑と木
こんな田舎で君と出会うとは思わなかった
家からプールまで10分かかる
この猛天下の中 それは最悪な事だった
でも詩織はこの時間が好きだった
なぜならこの環境が 好きだった
静かで
鳥の音 風の音 川の音 近所の子供の声
何から何まで素敵で仕方なかった
「なんだよっ!!」
一つの家から荒れた声が聞こえた
「由香里ちゃん…今の何??」
「なんだろー…喧嘩でもしてるのかなぁ」
その家から誰かがでてきた
詩織はその人に目がくぎづけになった
茶髪の髪
詩織の何倍も大きい身長
キラキラした服
整った顔
詩織は初めての気持ちを味わった―。