「長さ、これくらいでどうかな?」

「はい、大丈夫です」

そこから、私は無言になった。記憶も曖昧。

飯島さんも私に必要以上には、話しかけなかった。



気づいたら、私の髪は、黒く艶やかに染まっていた。




「ほら、どう?美園ちゃん、よく似合ってる」
しっかりしろ!とまるで言ってるかのように、飯島さんは、明るく声をかけてきた。


私はハッとして、鏡で自分の姿を確認した。

うん、なかなかいい。
みんな驚きそう。
翔太郎も気に入ってくれるかな?
褒めてくれるかな?


「いい感じです。ありがとうございます」

「良かったー美園ちゃん、彼氏惚れ直してくれるよ」

「えへへーそうかな?」


私は、かなりハイテンションになり、頭の中がお花畑のようになっていった。


「お疲れ様でした。ありがとうございました。気をつけてお帰り下さい」
受け付けで、私は、会計を済ませた。

「はぁーぃ、またお願いします」

私は美容院から、速やかに外に出た。