私は2階へ上がると鞄を持ったまま、すぐに翔太郎に、今聞いた話全てを細かくLINEした。

すぐに{既読}がついた。

『母親の死はわかっていたけど、高校生の時なのか…ちょっと引っ掛かる。
報告ありがとう!』

『そうなの?引き続き調査しますー』

私はスマホを閉じ、ソファーに横になった。
白い壁の天井を私はじっと見つめながら、突然、ある事を思い出した。

そうそう、クリスマスツリーを飾ることを忘れてたー

昨年から、クリスマスツリーを塾のエントランスに飾り始めたのだ。
生徒達は、皆喜び、講師達もモチベーションが上がった。

よし、授業の終わった生徒達と飾ろう!

私はクローゼットから、クリスマスツリーの箱を一生懸命引っ張り出した。

ふぅー
ああーこれ以上は私の力では無理だな。
立石先生がちょうどいるから、頼もう。

私はこそこそ階段を降りて行き、
「立石先生ちょっと」
立石先生の腕をぐいぐい引っ張って2階を指さした。

「クリスマスツリー運んで。お願い」
両手を合わす私。

立石先生は、爽やかな優しい笑みを浮かべた。

「いいですね。飾りましょう」


立石先生が、降りていくと、生徒達が、ワイワイと嬉しそうに集まってきた。


「はぁーぃ、授業終わった生徒だけ手伝ってね。授業ある子はごめんね」
私は出来るだけ優しく言ってみた。

とは、言ったものの、結局みんなで飾り付けした方が早い!となり、私、立石先生、真田先生、生徒達みんなで、美しくキラキラ艶やかに輝くクリスマスツリーを完成させた。

ライトをつけるとみんなキャッキャと飛び上がって喜んだ。

良かったー
やっぱ、ツリーはいいな。


「立石先生、真田先生、みんなありがとう」


「真田先生?ん?」

「………」

「どうしたの?」

「クリスマスツリーって母親、思い出すんです。病院に白いクリスマスツリー持って行ったんです。うちの母は、白色が大好きだったんです」
目頭を熱くさせている。

母親との大切な思い出なんだろう。

「そうなんだね。じゃあ、真田先生の家も白いクリスマスツリーなの?」

「うちは飾らないです。思い出してしまうから」



そうなんだ。
無理させたかな…
ごめんね。
でも、ありがとう、真田先生。