初めての出会いはお互い知らぬ間に出会っていた

私は初めてだと思っていた

君は私のこと知っていた

どこかで出会ったか

いや、そうじゃない

君が私を知っていた

始めは一方通行だった

それがどんどん同じ方向に向いていた

同じくらい背丈で私の方がちょっと大きい

そんな時に出会って

君を想うようになった

よくある話

そんなとある女の子の物語
私は清水愛(しみずあい)17歳 高校2年生

ほんとその辺にいる普通の高校生

友達にも恵まれてただ幸せな毎日過ごしてる

今日は20××年4月10日

今日から新学期でクラス替えがある

桜の木を眺めながらふら〜と登校してる途中

いつも変わらない通学路をクリーニングに出されて綺麗になった制服を纏って歩く

「愛、おはよ」

「おはよ、美優(みゆ)」

ふらふらしてる私に声をかけたのは中学から仲のいい田島美優(たじまみゆ)

毎日くだらない話で盛り上がってる友達

まあそんな関係がいいんだけれど

「ねえ、愛はそろそろ好きな人つくらんと?」

好きな人ねえ

「んーどうやろ。気が向いたらかな?」

そんな気が向いたらなんて言っているけれど本当は自分がろくな人好きになれないからって言うだけ

彼女がいる人好きになったり、いい人だと思ってたら全然違ったり

正直なところ作りたくないって感じかな

「そっか〜愛には美優がいるからいーよね?」

「またそんなこと言って美優が先に彼氏でもできるんじゃ?」

少し拗ねてみてって言っても笑いながら言ってみた

こんなくだらない世間話を永遠とできてる私達は腐れ縁と言うかなんというか

でもすごく良い関係性であると思ってる

そんな話をしながら学校についた

張り出されていたクラス表を美優と見て、今年はクラスが離れてしまって違うことを惜しみながら別れた

新しいクラスに入って自分の席を確認して机へ向かった

春休みが始まるまで座っていたところと同じとても落ち着く自分の席

窓際で1番後ろの日の当たる寝てても先生にバレない席

すごく良い席に初っ端から恵まれて満足

その席にみんなに挨拶しながら座ってHRまで机に突っ伏して外を眺めた

今年は良い人みつかるかなあ、
すっかりと変わったクラスメイトに戸惑いつつ新学期が始まり2日が経った

今はHRで終われば帰れる

今日は美優とカフェ巡りをする予定

『研修旅行のグループごとの日程考えてほしいからグループ作って話し合えー
そうだな、まだ慣れてないようだから自己紹介から始めろよ』

先生の一言で6人1組のグループになる

男女3人ずつでグループになった

まだ横とか前の子ともあんまり話してなくて名前も知らなかった

私の学校は研修旅行と言う名の日帰り旅行が新学期始まってすぐにあるから仲良くなりやすい

タイミング良きってやつ

私は1番後ろの席だからグループの席も1番端

自己紹介くらい聞かないとわかんないなと思ってみんなの顔を見渡した

その時ある1人の人と目があった

…誰

初めてみる男の子だった

私が嫌な顔をしたのかはわからないけどその男の子が真顔だったのに急ににこっと笑ってきた

彼と出会ったのは今日だと思った


「じゃあ次、ゆーり」

「え?ああ俺?ごめんって〜なんかぼーってしてたわ」

『ゆーり』と呼ばれたその男の子が笑いながら言った

へえ、ゆーりて男の子にしては珍しい名前

最初の印象はこのくらいだった