厳守として設けてはいないけど、何となくそんなルールがある。

だから連絡も来ていないし、事前にも聞いていないことを不思議に思い玄関に出迎えに行くと野村くんがモナと我が家の玄関にいた。

「お邪魔します」とモナに促されて入ってくる。

私が立ち尽くして見ていると余程の間抜け面だったのかモナがクスッと笑いながら「ごめんね。電車でたまたま会って話が盛り上がって、つい連れてきちゃった」と声を弾ませた。

つ、連れてきちゃったって。

「早川さん、すみません。
厚かましいかなとは思いつつ、モナさんの厚意に甘えて着いてきちゃいました」

内容はともかく申し訳なさそうな感じが微塵も感じられない彼の声色ではあるけれど、着いてきちゃったなら仕方ないかと「ど、どうぞ」と招き入れた。