ただ今は思い出したくなかった。

何で今更こんなに感傷的になるのだろう。

私は急いでカフェオレを飲み干すと、ごちそうさまと野村くんに伝えて立ち上がる。

「待ってください。
今度、食事でもいきませんか?」

そんなの、行くわけない。
あの一件は解決したんだし、私に構う理由が分からない。

私と食事に行ったって、大して積もる話もない間柄のただの同僚だ。

第一、さっき彼氏がどうのと話していたでしょ。

「悪いけど、私は行かない」

顔も見ずに伝えると、私はオフィスへと戻った。