ドアが締まった後も、心がジクジクと痛んですぐ振り返ってリビングに戻ることは出来なかった。

永田係長は寄りを戻してくれと野村くんに迫っていた時こそ子どもの様だったけれど、引き際はしっかり大人で…そんな姿を見て心が痛まない人はきっと恋をしたことのない人位だと思う。

深呼吸をして気持ちを落ち着けるとようやくリビングに戻ろうと足を向けた。



リビングにはまだ野村くんがジッと動かず残っていた。
振った側も相当心が痛いはず。

戻ってきた私に、モナが小さく首を振ってみせた。

恐らく、永田係長が出ていってからこの状況なのだろう。