しばらく誰も話さなかった。

追加で持ってきた白ワインをモナがそれぞれのグラスに注ぐ音と、壁掛けの時計の音だけがリビングに響く。


「…分かった。
野村、これからも上司と部下としてよろしく」

自分の中で一区切り付いたのか、あるいは付けたのか永田係長は顔を上げて野村くんに言った。

野村くんは真剣な顔で「ありがとうございました。これからもよろしくお願いします」と永田係長に告げる。

二人の真摯な姿に、胸の奥がジリッと痛むのを感じた。
恋の終わりは、他の人のそれでも苦くて痛い。