「そして野村くんは永田係長から逃げて、話も聞こうとしない」

野村くんも何か言いたげではあるけど、座った姿勢を直して黙っている。

「…私、凄く勝手なんですけど会社では目立ちたくないんです。
とにかく波風立てたくないんです。
二人は目立つから、私に個人的に話をされると今後勘繰る人も出てくるかなと思いまして」

何とも自分本意な言い分だけど、噂のまとにされるのは本当に御免だ。

大袈裟かもしれないけど、私の社会的存続に大きく関わる。

「それにこのままだと永田係長も辛いですし、野村くんは逃げ回ってばかりじゃ解決にならないと思います。
少なくとも、同じ営業で働いてるんですから」