「ふぁ~っ」休みなのに予定もなく
家でFacebookをひらきながらあくびをした。
「夏海くんっ!!?」
中学の時に憧れていた先輩を見つけて
夢中でメッセージを送った。

「どうか返信がきますように!」
返信は思ったより早くきた。
「おーっ!久しぶりっ!」
覚えててくれた事が奇跡

夏海くんと会うことになった。
会うのは8年ぶり。
「緊張するなー。」
鏡を見ながら化粧を直してると
「はるかー!」
振り向くと車から夏海くんが手を振っている
変わらずカッコいいと見とれていると
「置いてくぞ?」
夏海くんが意地悪そーに笑って言った

水族館につくとチケット代は夏海くんが
払ってくれた。
チケットを受けとると夏海くんが手をのばしてきた
「迷子になるからなっ」
この時あたしはもー好きだって思った
ずっとずっと好きだった夏海くんが
今、こんなにもすぐ近くにいる
こんな幸せが続くといいなって思ってた
水族館を出て少し車を走らせると
「今日はさすがにやめとくわ」と言った
ん?なにが?って思いながら周りを見てみると
ホテル。。。そう言う事か。とあたしは思った。
けど、「大丈夫、行こう」
「いいのか?」
「うん、」
あたしは夏海くんに抱かれたい本気で
そう思った。

部屋に入って先にお風呂に入った。
次に夏海くんが入りに行った。
あたしは今日1番緊張してた。
夏海くんが出てきて隣に座る
あたしは緊張のあまりタバコに火をつけた
「はるかタバコ吸うんだね」
やばい、タバコ吸う女って引かれるよね、
そー思っていたら
「んっ」口を塞がれた
「タバコなんかやめなよ」
夏海くんがあたしが持っている
タバコの火を消した
再び唇が重なる
体が熱くなるのを感じながら体を預ける
夏海くんの手が体に触れる
その時、ビクッ!
あたしの体が抵抗した。
何してんだあたし。
そう思った時には夏海くんがあたしから
離れていた。
「やっぱり、やめよ」
「大丈夫だよ!」
「無理にしたくない、ちゃんとはるかが俺でいい
そう思った時に抱かせて?」
優しく夏海くんが言った。
しばらくしてベッドで横になってた夏海くんが
口をひらいた。
「俺さ、今ははるかに話せないけど
俺といると辛い思いさせると思う」
「どういう事?」
「俺ははるかを幸せにはできないから
それに彼女もいる」
夏海くんが何を言ってるのかわからなくて
彼女がいる?なのになんで抱こうとしたの?
気づいたらあたしは泣いていた。
その日は結局そのまま帰宅。
「またな、」そう言って夏海くんは車を走らせて
行ってしまった。

家に入ったあたしはずっと考えてた
なぜあんなに悲しそうな顔をしたんだろ?
そう思いながら気づいたら寝ていた

それからも何度か会ったりしたけど
あたしは夏海くんが言っていた事にふれることなく
長い時間を過ごした。
再開して3ヶ月がたった頃
夏海くんの家に呼ばれて泊まりに行った。
そこは男の人の部屋と言うよりは
カップルの部屋。
あたしが見たくなかったものがたくさんあって
固まってしまう。
「大丈夫か?やっぱり、外行く?」
「ううん、大丈夫!何が食べたい?」
ってあたしに作れるのはオムライスくらい
キッチンを借りて作りはじめると
「包丁の使い方こえーな。」
って笑いながら見てる。
それがまたあたしに幸せと思わせてくれる
だからいい。彼女になれなくても二番目でもいい
あたしはその時そう決めた。
ご飯を食べ終えて
「ごちそうさま、まー上手いとは言えないけど頑張ったから褒めてあげる」
そう言ってお皿を洗ってくれた。
「ありがとう!」
ベッドで横になりながら携帯をいじっていた
あたしは部屋のすみに刀らしきものを見つけた。
それを不思議そうに見ているあたしに
「俺、刀ふると落ち着くんだよね、」
今の時代そんな人いるんだ。
そう思っていると
「そうだ、俺はるかを幸せにできない理由
話してなかったね、」
そう言って横になっていた体をおこした
「彼女がいるからでしょ?」
「違う、そんなの関係ないよ、
俺情報屋さんなの結構深く色んな依頼受けるし
命を狙われる時もある、刀も自分の身を守る為に
買ったってのもあるかな、
だからね、俺は普通の生活ができない
居場所特定されればまた引っ越さなきゃならないし
彼女とも会えない期間長かったりするし
そう言うことで俺お前を守れないんだよ、
幸せにしてやれない。」
何も言えなくてただ必死に理解しようと
あたしにできる事はないかと考えていると
「だからもう俺の傍にいるな、
お前は他の男に幸せにしてもらうの
俺じゃだめなの、わかった?」
「わかんない!全然わかんない!」
自分でもびくりするくらい大きな声だった
「はぁ、そう言うと思った、
けど、俺はお前を好きになることはないよ」
「それでもいい、夏海の傍にいたい、
彼女の次でもいい、夏海の一番になれなくてもいい
ただ会ってくれるだけでいいから」
泣きながら言ったあたしに
「なら強くなれ、泣く女とは一緒にいれない
自分の事は自分で守れるような女になれ」
「今日は送るよ、帰ろ」そう冷たく言って
夏海は支度を始めた。

それから1ヶ月。
あたしは夏海の家へ行った
玄関の前に着いたらガチャと音がした
玄関を開け中に入ると
「やっと足音だけでお前の事わかるようになった」
夏海にそう言われあたしは
「え!すごい!」と軽く言った
「足音だけでお前の事わからなきゃ
守れないからな」
嬉しいはずなのになぜか悲しい気持ちになった
あたしが夏海の人生邪魔してるんだ
あたしがいたら夏海安心して生活できないんだ
あたしはそう思った

それからあたしと夏海が会う事はなく
3ヶ月が過ぎた
そしてあたしは決心して夏海の家に行った