「ーだから俺、家を出たんです。でも、時間も遅いし先生しか頼れる人いなくて」

彼の家は父親が大学病院の医師で、息子は当然自分の職を継ぐものと考えており、そのため昔から教育に厳しかった。

常に学年トップの成績を取り続けるを条件に部活動の参加を許されていたが、先日受けた期末試験の順位が1位でなかったため、部活動を辞めるように言われ、口論になり家を出て来たのだという。

小林くんの話を聞いていると、だんだん彼の父親に腹が立ってくる。

「子供に自分の理想を押し付けるなんて最低ね!わかった。私が親御さんを説得する」

「本当ですか?」

「任せなさい」

そう言って拳で胸を叩く。

「アハハハッ、ありがとうございます」