「フラシア。近づくな」

低い声。

「何よ。ラディル。何かあるわけ?」

「・・怯えてるだろうが」

「え?あら、ホント。どうかしたの?」

遠ざかる気配にやっと目を開いて体の緊張をとく。

「す、すみません」

謝りながら反対側――壁を向く。




忘れてた。

自分は誰かと一緒にいちゃ駄目なのに・・・

自分は誰かを狂わせるのに・・・


どうして忘れる事が出来たんだろう。


忘れちゃ駄目なのに。





「どうしたの?気分悪い?」

「・・いえ。大丈夫です」
そう答えてベッドから出ようとする。


だけど


ドスン

「きゃ・・」

力が全く入らない。

「え?」

どうして?

「何してんの?さっき言ったでしょ?体動かないって」

「な、んで?」

「・・・ラディル、私コレ気に入ったわ。頂戴」

「却下だ」

コレ・・・

私を指差してるって事は私のこと・・だよね?

頂戴?

私誰かのモノ?

っていうか・・・




「誰?」






†††††