「大した事ないな。・・俺は行くから」

私の怪我の具合を見てからそう言って男の人が踵を返す。

狂った男の姿はもう見えない。


「ま、待って」

つい目の前の上着の裾を掴んで引き止めてしまった。

「・・・・・」

どうして引き止めたんだろう?

「・・・・・」

話すことなんて何もないのに・・・

「・・・・・」

綺麗・・・

「いつまで待たせるつもりだ?」

「ぇ?あ・・・た、助けてくれてありがとうございました」

「食事の邪魔だっただけだ」

「食事?」

「・・・面倒だな。お前でいいか」

「ぇ?」



ガリッ


何コレ・・・

首が熱い。

焼けるように熱い。

熱くて熱くて苦しいのに・・・

どうしてだろう?

安心してる私がいる。







もう一人じゃない。

どうしてだろう?

そう思ったのは・・・








†††††