「消えろ」

低い声。


怒っている感じの声は怖いはずなのに・・・


どうしてだろう?


安心してる私がいる。


全く知らない人なのに・・・


どうして?



「怪我は?」


こっちを向く私を助けてくれた男の人。


「っ!・・・」


何も言えなかった。

というか頭が真っ白になった。


「おい?」

「・・・綺麗」

目の前の綺麗な顔が綺麗に顰められる。

綺麗な顔ならどんな顔しても綺麗なんだろうな。




短い黒みを帯びた緋い髪、瞳は金色に肌は白い。

非のうちどころのない造形の顔。

身長も高く引き締まった体躯は黒の服に包まれている。

恐らく男も女も誰もが見惚れてしまうだろう存在。

ソレが目の前にいた。