「き、吸血鬼、ですか・・・」

「そうそう♪きゅ・う・け・つ・き」

ハートが飛び散る答えをフラシアさんはしてくれた。





†††††


今、私はかなりおかしな状況にいる。

ラディルさんなんて眉間に皺を寄せたまま窓の外を見てる。

先程フラシアさんから自分達は吸血鬼で一族から離れて旅をしていると説明をされた。

本当はバラしちゃ駄目なんだけど、という言葉と共に。

すっごく驚いた。

だけど血を吸われて体が動かないっていう事実がなければ信じられなかったかも・・・


「どうして旅をされてるんですか?」

「んーー只の社会見学よ。人間社会のね。知っておいた方が食事に困らないし(笑)」

食事の為、ですか・・・

「でも貴女は運が良かったわね」

運?

「どうしてですか?」


男に追いかけられ

吸血鬼に血を吸われ

これからどうなるか分からないのに?

「ラディル、血をほとんど吸わないの。前に吸ったのなんて20年前だったかしら?」

「25年前だ」

「そうそう25年前ね。だからあなたは貴重な人間よ(笑)」