「フラシア。煩い」


側に寄ってきたのは黒い短髪に茶色の目の綺麗な青年。

美女に負けず劣らず綺麗で並んでいてもなんら遜色ない。

美女――フラシアさんは隣で大爆笑中。


「だ、だって、ぃ、今頃『誰?』って・・」

またお腹を抱えて笑うフラシアさん。

すみません、鈍くて・・・

大爆笑してるのに綺麗なんてズルいです。

なんて考えてるくせに少し離れた位置にいる青年――ラディルさんから目が離せない。

だって・・・

すっごく綺麗なんですよ。



でもどこかで見たような気がする。




「あの、すみません。どこかでお会いしましたっけ?」

「・・・・・・」

ぁ、あれ?

反応なし?

「ぁ、あははは(笑)あは、あははは」

テーブルをバシバシ叩きながら大爆笑するフラシアさん。

涙まで流してる・・・

私変なこと言いましたっけ?


「いい加減にしろ」

ため息をつきながらフラシアさんに言うラディルさん。

やっぱり綺麗です・・・

「ね、ね。ホントに覚えてないの?コレから血を吸われたの」

え?

血?

吸われた・・?






急に思い出した。

首を噛まれた時の熱さを―

からだが冷えていく感触を・・・









†††††