柚香ちゃんはニコッと微笑んで言った。

「頭が良くて、可愛くて、運動も音楽もできてさー。それで学級委員で気づかいまでできるなんて」

チク、と何かが私の胸に刺さった。

今まで何度も聞いたその言葉に、
私は何も言えなくなる。

「それに…」

「そんなことないよ」、なんて言えば皮肉だって
言われるし、「ありがとう」って素直に受止めると
嘘になる。

いつもそうだ。

私は常に言葉を探してる。

「松田、」

そう、河野が後ろから、私の右隣に移る。

「ごめんな。また気使わせちゃって」

「こちらこそごめん。勝手に河野巻き込んで」

「俺は全然大丈夫。松田と一緒なら安心やわ」

「私も、河野となら」