なんか私が恥ずかしいし、奈湖ったら何やってくれてるの!
「ご、ごめんね〜気にしないで」
あはは、と笑うと、奈湖はすこし不服そうだった。
いやいや、何を期待してるのって。
でも一瞬焦って踊っていた心臓が落ち着いた頃、私はまた油断していた。
「可愛いよね、咲ちゃん」
空耳かと思った。
ビックリとかそういう次元じゃなくて、もうなんていうか、何かが溢れ出すような…
心臓のドキドキが走った後みたいだ。
顔が赤くならないわけがない。
そういうノリに乗ってくれただけっていうのは分かってるけど、どうしたってこのドキドキは止まらないし?
名前、覚えててくれてるんだー…って感動だし。
…ああ、もう。
椎奈君って、なんでそうかな。