「……あんたほど馬鹿なお坊ちゃま初めて見たわ。後悔するわよ」




南條さんの発言は火に油だと思ったけど、これには同意。




春翔とは大違いだ。




「うっせえよ!!」




男の人が階段を降り始めた南條さんのことを思い切り突き飛ばした。




バキッ!!!!




何かが折れる音。そしてバランスを崩してゆっくり倒れていく南條さん。




全てがスローモーションに見えた。




ダメ、落ちちゃう…!




「危なっ…!」





考えるよりも先に、行動。





咄嗟に私は手を伸ばしてしまった。




ダメだ、体勢戻せない。




「茉希さん!」




私は茉希さんを抱え込むように抱きついて、そのまま ── 落ちた。