どんな痛い辛い結果を迎えても、それを受け入れなければならなかった。
どんなに回り道をしたって、最終的には向かい合わなきゃいけない。
「痛い、辛いことから逃げていては、強くなれないし、幸せになれない…」
逃げていては…ダメだった。
「…そうだね」
同意するように、頷き返してくれる。
そして、蓑島くんは、すっかり暗くなった夜空を見上げて呟いていた。
「俺も間違ってたかなぁ…」
そして、へへっと笑っていた。
爽やかな、いつもの悩殺スマイルで。
…もう。いつ見ても、ドキッとさせられる。
「…でもね、蓑島くんのおかげだよ」
「え?」
「逃げたらダメだって、蓑島くんが気付かせてくれたんだよ?」
「…俺が逃げ道提供したのに?逃走ルート確保したのに?」
それは違う。
首を横に振る。
「蓑島くん、いっぱい私の背中を押してくれた」
…蓑島くんのファンの先輩に囲まれた時、私には逃げないで戦える力があることを知って。
昔のクラブチーム仲間との和解のために、無理矢理お膳立てしてくれて。
球技大会だけど、サッカーの試合に出るきっかけもくれて。
長い間、立ち止まっていた私の背中を『大丈夫』と、押してくれた。