「星月は、俺に大切なものを気付かせて幸せにしてくれた人だよ?…その人が、大切にしていたサッカーも失って、失恋もして、独りで傷付き泣いているなんて…幸せじゃないなんて」

「蓑島くん、それは違う!それは私が不器用で、人を頼れなかったから…」

「自分だけ幸せに浮かれていて、許せなかった…」




…悔しそうで。




「俺は幸せなのに、星月が幸せじゃないなんて、許せなかった。だから…」




…『罪悪感』が見え隠れしている。

後悔の念と。




「だから、幸せになって欲しかった。誰も幸せにしないのなら…傍にいないのなら、俺が少しでも幸せにしたいと思ったんだ」

「蓑島くん…」





…だから。

だから、あんな突拍子もないオファーを私に…。

男の子が女の子を一番幸せにしてあげられるポジション。

それは、彼氏。

だから…だったんだ。




何も知らずに自分だけ幸せでいてごめん、みたいな。

それはまるで、蓑島くん自身の罪滅ぼしみたいな。

私のために出来ることは何かと考えた結果だったんだ。



(もう…)




「…でも俺、何かやり方間違ってんのかなー?って、思い始めちゃったりなんかもしてさ?」