「何で?」
この疑問に逆質問されても…。
「話、飛んでない?」
「そう?」
「だってだって!何でそれで『俺が彼氏になってやる!』なの!何でそう思っちゃうの?私のことを好きなワケではないでしょ?」
「え?俺、星月のこと好きだよ?」
「えっ!」
一瞬、ドキッとするが。
ダメ。ダメダメダメ。
蓑島くんの私に対する『好き』は、そうじゃない。
loveじゃなくてlike…。
わかってる…。
この数週間でわかった。
この人は、likeの好きを恥ずかしげもなくサラッと言えてしまう。
それが、女子を勘違いさせてしまう。
私もその罠にハマりそうになった。
そして…loveの好きはなかなか素直に表現できない。
すると、蓑島くんが話し出す。
その声は、いつもとは違う、ようやく振り絞ったようなか細い声だった。
「だって…独りにしたくなかった」
蓑島くんの顔からは、いつの間にか笑顔も消えている。
それは、いつもの蓑島くんとは違う。
いつになく、ムキになった表情で。
「星月は、俺に大切なものを気付かせてくれた人だ。…あの時、星月と出会えてなかったら、こうして野球が出来る幸せがわからなかった」
…悲しそうで。