「俺にとっては、水口と村河さんが付き合っていなかったことが問題じゃない。事実がどうであろうと、星月が傷付いて泣いたことが問題だったんだ」
「そ、それは、私が勝手に傷付いて泣いただけだよ!…ただの勘違いだったけど」
「でも、あいつらはキスしてただろ?村河さんの一方的なキスで、水口は怒ってはいたけど…でも、勘違いだろうが何だろうが、星月が傷付いたことには変わりない」
「そ、そんな…」
「星月が独りで傷付いて泣いているのは、嫌だった。ただそれだけだよ」
何で…?
何で、蓑島くんはそこまで私を…。
「…何で、そこまで私を…」
何で、こんなどうしようもない勘違いをして、思い込んで突っ走って泣いたのに。
私のただのやらかしだったのに。
でも、私が傷付いて泣いたからって。
「…どうして?どうして、私のこと庇ってくれるの…?」
何で、こんなどうしようもない私を、守ろうとしてくれるの…?
やらかしてるって、わかっていたのに。
何で、傍にいて、味方でいようとしてくれたの…?
蓑島くんは、私をからかったのでも何でもない。
蓑島くんが嘘を言ってないことは、そのいつになく真剣なその表情から、わかる。