…その事を美優から聞いた時は、物凄く驚いた。
蓑島くんは、二人がキスの後にモメていたのを見ているはずで。
なのに、私には嘘をついて。
その上、美優が伊野くんと付き合い出したのも知っていて。
それでも、私にその事実を告げることはなかった。
私の早とちりを指摘してくれなかった。
瞳真と美優が何でもなかったら…私達はこうして偽物カップルを演じる理由なんてなかったはず。
蓑島くんには横川さんがいるのに、わざわざ私と偽物のお付き合いをする必要がなかったはず。
なのに…何で?
何で、何も教えてくれなかったの?
何で、そこまでして私の傍にいてくれたの?
本当に、それだけが疑問だった。
「星月、俺は…」
「…うん」
「…俺にとっては、そんなのどうでもいいんだ」
「え?」
言ってる意味がわからず、一瞬固まってしまった。
どうでも…いいんだって?
「水口と村河さんが付き合っているのか否かなんてどうでもいい。ただ俺は、あの二人がキスをしたことによって、星月を傷付けて泣かせたことが許せなかった」
「え、え…?」
何を…言ってるの?
どういうこと?