「聞きたいこと…ったよね?」
「うん…」
蓑島くんのこの女殺しスマイルに、何度胸をドキドキさせられたか。
そして…何度、救われたか。
「蓑島くん…私」
でも、私には、聞かなくてはならないことがある。
「…私達、昔…会ったことあるよね?」
蓑島くんの顔色がパッと変わった。
いつもの笑顔が、一気に真顔になる。
その表情から、確信する。
蓑島くん、私のこと知ってたんだ…!
「…誰かから聞いたの?」
「え?」
「水口かゆらか、ひょっとしてどっちからか聞いた?」
瞳真?何で?
「ち、違うよ。私、気付いちゃったの…」
…昼休みに、斗弥子から蓑島くんの昔の写真を見せてもらった。
それは、少年野球のチーム集合写真で。
小学三年生の蓑島くんは、後列にちょこんと帽子を被った顔だけ出していた写真だったけど。
面影は…あった。
…そして、部員たちの着ていたユニフォーム。
コバルトブルーで。
VANKEES…バンキースと、胸元にロゴの入ったデザイン。
それは、あの試合を見に行った時、あの男の子が着ていたユニフォームと同じだった。