「お疲れー!せづも終わり?」


部活終わりで疲れていても、この人は笑顔を崩さない。

手を軽く振りながら、スマイルそのままやってきた。


「どうしたの?俺に会いたくなった?」

いつものおふざけが来るが…私は覚悟を決めてここに来たため、バカじゃないの?!だなんて、いつもの調子で返せない。



「蓑島くん…」

「ん?」

「聞きたいことがあるの…」




蓑島くんは、笑顔を崩さないで頷く。




「いいよ?向こうで話そうか?…俺達二人きりで。誰も来なさそうなところで。うひひ…」

「………」

いやらしい…。






蓑島くんにつれて来られた場所とは、グランドから少し離れたところにある裏口のベンチ。

…の、傍にある垣根の茂み。



ここは…。

あの日。私が野球部のファールボールを追いかけて入り込んだ場所だ。

瞳真と美優のあの現場を目撃した場所。

私と蓑島くんの変な関係が始まった場所だ。




本当に、人が来ない怪しい場所を選んだね。




私、真剣な話をしようと思ってたのに。

自分の操の危機管理もしなきゃいけないの。




「…で、話って?何?」



蓑島くんは、そこらへんに「よいしょ」と腰かけた。