部活が終わりの時間を迎えても、グランドには人の姿をちらほらと見かけて、活気がまだ続いている。

来週にテストがあるため、明日から部活停止の期間に入るからか、うちの部だけではなく他の部も自主練している。



…特に、来月本選を控えている野球部も。



野球部は、先ほどまでトスバッティングの壮快な金属音がずっと響いていたけど。

もう撤収するのか、後片付けに入っている。




…私は、足を進めてそのまま。

野球部のグランドへと向かった。




蓑島くんと、話さなきゃいけないことがある。




遠目から蓑島くんの姿を探す。

暗がりだし、人が多くてわかりづらい。

みんな同じ練習着を着てるし…。




「…あれ?星月?」



私の見ている方向とは、反対の方から声がする。

振り向くと、そこにはベースボールTシャツにジャージ姿の横川さんが立っていた。



「あ、お疲れ…」

ここで横川さんとは…ちょっと気まずい。

しかし、彼女は私が何をしに来たか察したようだった。

「…悠介に用事?」

「あ、うん…」

「ちょっと待ってて」



そう言って、駆け足で部員の群衆の中に入ってく。

しばらく待っていると、彼が私のもとへやってきた。