「ありがと。紗夜ちゃんってよく気が利くタイプだね」

「そんなことないです」

「あるわよ、午前中一緒に働いてて思ったもん。あー、この子は周りが見えている子だなぁって。何より、あの気難しい貴司のサポートが出来てるんだからすごいよ」

「サポート出来てますか?」

「出来てる出来てる、わぁ~見て、私のハンバーグ定食も出来てる~」


大丈夫かな、この人。

もしかしたらすっごく適当な人なんじゃない? でも褒められて悪い気はしないので、良いように受け止めることにして、運ばれてきたカキフライ定食に箸を付けた。旨ぁい。


「あの、深町さん」

「彩でいいわよ、何?」

「水瀬さんと同期って聞きましたけど、水瀬さんって何か引きずっているんですか?」

「ん? 引きずってる? 何を?」


ありゃー、だめか。

昨日の太田さんが言っていたこと、彩さんなら何か知ってるかと思ったけどなぁ。仲良さそうだし。

これはきっと私の勘だけど、水瀬さんは本社で何かあって東京に来たんだと思う。仕事なのか、プライベートか、それは分からないけど、他人との関りを避けたいと思うような何かがあって……。

ってのは、考え過ぎかな。