迷子になりそうなほど広々とした構内を抜けて改札口のところまで来ると、本社の社員さんが出迎えに来てくれていた。私と同じか、少し年上かなってくらいの男性で親しみやすい笑顔が印象的な人だ。

「お久しぶりです~、会いたかったっすわ」

随分と砕けた挨拶の仕方に驚いたけど、水瀬さんと彼は本社勤務時代の先輩後輩らしい。

そうか、私にとって大阪は出張だけれど、水瀬さんにとっては戻るような感覚なのかな。心なしか嬉しそうに見えるし、やっぱり本社がいいのかな。

そう思うとちょっとぴり寂しくもあり、仕事なのに何を考えているんだと自分に喝を入れた。


「いやぁ~いいっすね、美女と同伴で出張なんて」

「び、美女!?」

「黙って運転しろ」

「ひゃはは、後ろから蹴らないでくださいよう!」


痛いと言いつつ嬉しそうに笑ってるし、陽気な人だなぁ。

水瀬さんの後輩さんは、名前を太田さんといい、私より1つ年上の26歳だと判明した。新大阪駅から本社まで、彼の運転する車で向かう。

その間、太田さんはずーと喋り続けていた。