だけど、そんな私に。
またまた夢みたいな現実が舞い降りてくれたのだ。
「出張ですか?」
「うん、大阪の本社にね。副部長と一緒に行ってもらいたいんだ」
「ふ、副部長と!?」
「本当はね、松木くんに行ってもらう予定だったんだけど、彼の実家で不幸があってね。だから急で悪いんだけど、これも経験だと思って頑張って。ちなみに明日から二泊三日ね」
ぶっちゃけると、途中から部長の話は聞いてなかった。
急とか、これも経験とか、そんなことより、水瀬さんと2人で出張なんて神様ありがとう!!
冷静を装いながらもスキップしたい気持ちでデスクに戻ると、ちょうど外から戻ってきた水瀬さんと目が合った。デへへ、グへへと奇妙な笑みが漏れてしまう。
そんな私を見て彼は一瞬引きつった顔をしたが、すぐにどこかへ電話を掛けた。
*
「わぁ、私、大阪って新人研修で行ったとき以来です」
「言っとくけど、旅行じゃないからな」
「分かってますよ」
午前7時50分に東京駅を出発した新幹線のぞみは、約2時間後に新大阪駅へと到着した。
駅に降り立った瞬間、周りから聞こえてくる関西弁にほっこりする。