真新しい制服に身を包まれ、緊張しながら学校に向かったあの日から1年。
今日から2年生だ。
須原中学校では、1年生から2年生に上がるときにクラス替えがある。
クラスと名前が書かれた紙を見る。
私はまた4組だった。2年4組。
新しいクラスメイトの名前を端から見ていく。
するとそこには、『大原 夏菜』の文字。
夏菜ちゃんと同じクラスか。ちょっと不安だな…
「麻珠ちゃん!同じクラスだね!よろしくね!」
と、ニコニコしながら夏菜ちゃんがこちらに向かってくる。
「ぅ、うん。よろしくね!」
できるだけ明るく返事をした。
いつもより口角をあげて。優しい声で。
『大原 夏菜』より先を見ていなかったので、夏菜ちゃんの隣で、またクラスメイトを確認し始めた。
端から端まで何度も見直すけど、『高野 裕哉』の名前はない。
高野は2組になったらしい。
憂鬱な気持ちのまま、2年生が、スタートした。

高野のことは、もお好きじゃないって言ったら嘘になる。
何か引きずるものがあるんだ。