抱き止めた樹也の肩越しに 扉が開くのが見えた。 緩めたネクタイと、 白いシャツ。 真っ黒な、 加工のされていない、 あたしと同じ色の髪。 ――明良。 「ばいばい、明良」 あたしたちは やっぱり【半分】で お互いがいちばん希むことは 声にしなくても通じ合えた。 ――だから。 明良は、なにも云わず、 視線だけを残して出て行った。 ぐちゃぐちゃになったあたしのなかでたぶん、いちばん強い希みだったから。 明良なんか ……明良を好きなあたしなんか いなくなってしまえ、って。