シフトが出たら、会いに行きにくくなる。

3日後には、東京へ出かけた。

面会が終わったら、松井さんとも会うことになっている。


向かった大学病院は、

私の通っている病院の何倍も大きかったし、

新しかった。


「原 武」

というネームプレートを見ても

な~んも思い出せない。

でもしょうがない。

サッサと行こう。


「・・・こんにちはー」

カーテンを開けて、中を覗いた。

お坊さんとはまた違ったタイプの、

痩せぎすのお爺さんが私の姿を捉えた。


原さんは、呆気に取られていたようだが、

「ようようよう!元気かよぉ!?」

と、病人とは思えぬ声を張り上げた。


「げ、げんきです・・・」

「俺ぁアンタに会わねぇうちは死ねぇと思ってね!それで連絡したんだ!」

ちょ、ちょっと、声が大きすぎる。

「よかったら、あの、談話室に・・・」

「よせやい。もう起き上がれねぇよ!」

「え?」

「まぁいんだ!そんことより、座んなよ」

言われるがまま、差し出された椅子に座った。